マスターセラピストの特徴
公認心理師の勉強をしていて、自分の将来像というか、今後の課題や目標というものがいくつかみえてきました。
公認心理師国家試験の範囲でもある「公認心理師の職責」に掲載されていた「マスターセラピストの研究」がとても心に響いたので紹介させていただきます。
う~んと思わずうなづいてしまいました。
他の臨床家から尊敬され、「自分がセラピーを受けるなら頼みたい。」
「自分の大切な人がセラピーを必要としているとき、紹介したい。」と思う優れた臨床家であるマスターセラピストの研究がある
(e.g.,Skovholt&Jenninngs,2004)。
ここではいくつか研究を総合した結果の中から認知、感情、対人的特徴を紹介(下段、マスターセピストの特徴)。
マスターセラピストとされる臨床家は、曖昧さ、複雑さ、などを求め、そのような知的挑戦を歓迎する姿勢をもっている。
そして、学ぶことに貪欲であり、観察力を磨き、感受性を高めることに力を注ぐ。
学ぶことを楽しむという姿勢は、感情的世界、そしてプライベートな対人関係にも向けられ、他者からのフィードバックを求め、それを歓迎する。
Levittらは、熟練した臨床家にインタビュー調査を実施し、臨床的知恵について検討している(Levitt&Piazza-Bonin,2016)。
その結果、臨床経験を積むに従って、臨床的判断のプロセスは自動化され、その機能がいわば「巡航」状態になるわけではなかった。
むしろ、熟練した臨床家は、そのような自動化を拒み、状況にしっかりとかかわり、深い理解を求めていた。
もう一方で、RonnestadとSkovholt(2013)は、認知的にまたは感情的にも扱いきれない情報を遮断して安直な結論に飛びつく早まった締め
くくり(Premature Closure)をする傾向を初心者の臨床的判断の特徴の一つとして挙げている。
優れた臨床的判断は、正確さやスピード、効率性などよりも、深く関与し、体験する姿勢、自身の判断についての謙虚さなどと関連している。
マスターセラピストの特徴
【認知的特徴】
- 複雑な曖昧さを歓迎する
- 蓄積された知恵によって導かれる
- 飽くことがない好奇心
- 人間であることへの深い理解
- 貪欲に学ぶ
【感情的特徴】
- 深い自己受容
- 純粋に謙遜
- 自己への気づき
- 成長への強い意志
- 生を情熱をもって楽しむ
- 秘めた強さ
- 活気に満ちている
【関係的特徴】
- 他者と深く関わる
- 鋭い対人的知覚と観察力
- 細やかな倫理的感覚
- 寛容であるが境界は明確である
- 人生のフィードバックを歓迎するオープンさ
参考文献:公認心理師現任者講習会テキスト2018年版P.40より